患者さんが入院中に転倒転落を起こしてしまった時、どう対応していますか?
転倒転落は未然に防ぎたいものですが予測できずに起きてしまうことや対策をしていても起きてしまうことがあります。
そんな時の対処法を現役看護師の私が実際に現場で行っている対応をお話ししていきます。
転倒転落発生時の看護師の対応

患者さんの状態を観察する
- 意識レベルの確認、バイタルサイン測定
- 頭部打撲の有無
- 骨折の有無、疼痛はないか
- 全身の皮膚状態
まずは意識レベルを確認しながらバイタルサインを測定します。
普段と変わった様子は無いか確認する必要があります。
頭部を打撲したか患者さん本人へ確認し、曖昧な状況の時は頭部に外傷や腫脹、発赤がないか確認しましょう。
頭部を打撲している際は、転倒転落後の意識レベルの変化がないか継続して観察していく必要があります。
その理由は、頭部を強く打撲していると脳内で出血している可能性が考えられます。
慢性硬膜下血腫(クロサブ)は徐々に脳内で出血し、約2か月後に症状が出現して診断される率が高まります。
他に打撲した個所はないか確認し、四肢を動かして痛みの出現がないか骨折の可能性はないか確認します。
骨折がなくてもどこか打っている可能性があると皮膚の変色はないか、表皮剥離など擦過傷がないか観察しましょう。
後になって骨折していたというケースもあるので転倒転落時の観察は重要になります。
抗凝固剤を内服している患者さんでは軽くぶつけただけでも皮膚は変色しやすいため注意が必要です。
医師への報告
転倒転落が起きてしまったら、主治医に報告する必要があります。
そのままにしておいて後から何かあってからでは取り返しがつきませんので、必ず患者さんの状況を報告して指示をあおぐ必要があります。
転倒転落は夜間に起きることが多いですが、主治医に連絡がつけられない時は当直医に報告します。
そこそこの職場で転倒転落時の流れがあると思いますので、それに従って対応すると間違いはありません。
また、転倒転落の予測がつかずにセンサーや柵などの対策がされていない場合は、医師に報告の際にセンサーの装着の許可も一緒にいただき開始することも必要です。
家族への報告
入院中に転倒転落が起きてしまったことをキーパーソンへ報告します。
どんな状況であったか、転倒転落を起こしてどうなったかなど説明し謝罪します。
センサー類の装着を開始した際は一緒に対策を行っていることも説明し、承諾を得て行うようにしましょう。
時に家族からのクレームが入ることもありますし、内容がこじれて訴訟問題となることもあります。
何事も低姿勢で誠実な態度で謝罪しましょう。
病棟管理者への報告
転倒転落が起きたことを管理者へも報告します。
夜間の場合は翌日に報告し、事故報告書を提出する必要があります。
転倒転落発生についてのチームカンファレンス

転倒転落が発生した場合はチーム内でカンファレンスを行い、情報を共有し解決策や対応策をアセスメントします。
- なぜ転倒転落が起きてしまったのか
- その際の状況は安全だったか
- 転倒転落の予測はできなかったのか
- 今後、どのような対策が必要か
転倒転落が発生した際の状況を整理し、どんな対策が必要だったかを話し合います。
そして今後の入院生活を安全に過ごすための安全策を出します。
転倒転落を予防するための対策を記事にしたものがありますのでこちらを参考にしてみてください。
私の職場では医療安全室という部門があるため、そこのスタッフやリハビリスタッフも交えてカンファレンスを行っています。
転倒転落時の看護記録について

転倒転落が起きた際は必ず看護記録に記載する必要があります。必要というよりは必須です!!
看護師の記録が何より重要になります。
転倒転落発生時の記録は最も重要で、今後何か症状が出現した際に自分の身を守る証拠にもなります。
転倒転落発生時から最低でも24時間は観察し記録を残すといいでしょう。
カンファレンスを行った際の内容も記録に残すことで、きちんとチームで話し合い対策を考えたという証拠になります。
こんなにもなぜ看護記録を残す必要があるかというと、後になって骨折や頭部の病気が発覚した際などに重要となります。
また、訴訟問題へと発展した際に看護師の記録が裁判等で重要証拠となるためです。
転倒転落発生についての事故報告書作成

転倒転落は院内では事故扱いになるため事故報告書が発生します。
当時の発生状況やカンファレンスでの対応策を記載し、今後のケアに繋げていきます。
報告書の記載方法はそこそこの職場で使用しているものがあると思いますのでそれに沿って記載してください。
転倒転落事故が起きてしまった際の対処法のまとめ
転倒転落が起きてしまった際は、まずは患者さんを観察しましょう。
それから医師への報告や家族、管理者へといった流れになります。
入院中の事故で最も多いのは転倒転落です。
高齢者が多く入院しているため、認知症やせん妄といった症状から転倒転落のリスクは高い状態です。
患者さんの身の安全を守ることが看護師の役目です。
患者さんを把握し、環境を整えて安全に治療やリハビリが行えるよう援助していきましょう。
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