4月から看護師として働きだしている方からアセスメントがわかない・何が解らないのか解らないという言葉をよく聞きます。
実際に臨床で働きだし、実際に患者さんを目の前にした際に何を見ていいのか解らないということが多いようです。
私も新人の頃はルーチンでバイタルサインを測定し、症状を聞いて、全身状態を観察する。
特に何をポイントに見なくてはいけないのかも解らずに、それとなく観察する。
という感じで患者さんの状態を見ていました。
これは知識不足による行動がほとんどのようです。
しかし、世界には色んな病気があります。
全てを勉強したところで、頭に入るかと言われると困難なことでしょう。
そこで、自分でどのようなことを理解すると必要な観察項目やアセスメントができるかを看護師歴17年の私がお話ししていきたいと思います。
アセスメントとは

アセスメントの意味は、客観的に評価すること。
患者さんの病名、バイタルサイン、訴えている症状、考えられる症状や状態がないか、検査データーを全体的に踏まえた上で何が起きていて、今後何が予測されるのかを評価するということになります。
その評価で出た答えから、看護師として何を援助しなくてはいけないのかという明らかな行動が表出されます。
これがアセスメントの必要性になります。
患者さんの情報収集
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観察
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アセスメント
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看護ケア・危機回避
患者さんを把握する

まず、患者さんを知ることです。
☑️病名、何のために入院しているのか、日常的な面(食事、排泄、入浴、意識レベル、認知症、行動)。
☑️既往歴はないか。
☑️検査データー(レントゲン、採血、検尿など)
☑️上記を観察しても、普段のその患者さんの状態を知らないと良い状態なのか悪い状態なのかが判断できないので普段の状態はどうなのか。
これは情報収集に繋がります。患者さんのカルテを見て、昨日や夜間の状態を把握します。
一人の患者さんが肺炎で治療目的で入院しています。食事の際にむせこみが見られていました。
観察項目
①バイタルサイン(特に発熱していないか、Spo2は低値ではないか)
②意識レベル(覚醒しているか、会話は可能か)
③呼吸状態(どんな呼吸状態か苦しそうにしていないか、浅くないかなど)
④肺複雑音はないか、痰の性状・量・色・粘稠度、食物残差物が混入していないか
⑤食事量・摂取状況(自力で摂取か介助か、どのような形態のものを摂取しているか、どのような時や物でむせるのか)
⑥日常生活動作(排泄はトイレかオムツか、起き上がりや車椅子への乗車は介助が必要かなど)

観察の結果
①発熱があり、手足が冷たく、震えている。
②話しかけても活気がない。
③呼吸は速い。
④肺副雑音も聞かれ、痰が絡んでいる。
⑤食事も発熱のため、数口でありむせていた。
⑥自力で体動が困難であり、オムツを使用している。

アセスメント
①発熱があり、冷たく震えているのは、これから更に熱が上昇することが予測されます。
手足が冷たいとSpo2の値を正常に拾うことが困難で低値を表示することがあります。
しかし、低酸素状態の可能性も考えられるため酸素吸入を開始する必要があります。
低酸素状態が続くと、意識レベル低下の危険性があります。
②発熱や痰の貯留により意識レベルが低下している可能性があります。
③呼吸状態が速くなっているのは、痰が詰まっている可能性がある。
また、発熱と悪寒で苦しい。
④痰が絡んでいて、自力で喀出できない状態の場合は吸引を施行する必要があります。
放っておくと、痰が詰まり窒息してしまう危険性がある。
⑤食事は覚醒状態が悪いと、きちんと嚥下ができずにむせこみんでしまいます。
今は覚醒状態がはっきりしていないが、肺炎になる前からむせていたのか?
誤嚥して肺炎になっていることが考えられます。
⑥体動が困難であり、同一体位での状態は褥瘡になる危険性があります。
また、オムツを使用している状態であると、排泄による汚染が考えられます。

看護ケア
⚠️リーダーやプリセプターへ状態報告
①保温し、悪寒が消失した時点でクーリングや解熱剤の使用
②継続して意識レベルを見る。
③酸素吸入の準備
④吸引を施行して、呼吸を楽にしてあげる
⑤食事形態の検討、食事の際の姿勢を検討、STへ嚥下評価依頼
⑥体位変換を定期的に行う。スキンケア(保湿など)
定期的なオムツ交換と陰部洗浄を行い清潔に務める。
上記のように、アセスメントができていると看護ケアに繋げることができます。
また、命に関わることもあるためアセスメントは重要です。
必要な勉強はある?

📌自分が働いている部署は何科ですか?
📌主にどんな病気を持った患者さんが多いですか?
そこに的を絞って勉強すると無駄がありません。
勉強方法は個人差がありますが、基礎を勉強することは同じです。
- 病名
- 症状
- 治療法
この3点を知っておくと観察項目や必要な対処法が考えることができます。
まとめ
患者さんを知り、観察してアセスメントする。その結果、必要な看護ケアが見えてきます。
肺炎での例を出しましたが、肺炎だけではなく既往歴も含めて観察することで情報量が多くなりアセスメントが大変となってきます。
しかし、色んな患者さんと関わることで自分の中での知識や経験が増え、アセスメントがしやすくなっていきます。
看護師が患者さんをケアする上では、アセスメントは必ず行う必要があります。
難しい部分ではありますが、その分重要な部分でもありますので前向きに取り組んでいきましょう。