入院している患者さんの多くは高齢者です。
患者さんのスキントラブルで困ったり、悩んだりした経験はないでしょうか?
高齢者のスキントラブルはとにかく保湿することで回避することができます!!
現役看護師が現場で行っている高齢者へのスキントラブル予防方法やスキンケアをお話ししていきます。
高齢者のスキントラブルの原因

- 皮膚が脆弱
- 皮脂が少なく乾燥傾向
- 栄養量の低下によるるい痩
- 全身状態が不安定による浮腫
- オムツ装着による外的影響
皮膚が脆弱になるのは加齢に伴って皮膚の弾力が低下するためです。
表皮も薄く、軽くぶつけただけで変色したり表皮剥離しやすい状況になります。
加齢に伴い皮膚の脂分も少なくなり、皮膚は乾燥傾向になります。
皮膚が乾燥していると皮膚のバリア機能が低下し破損しやすい状況になります。
高齢になると栄養の吸収も低下し、体重減少による骨突出が大きくなります。
そうなると関節などの骨の出っ張りが大きくなるため摩擦や圧迫による影響を受けやすい状況になります。
これが寝たきりの状態の高齢者になると褥瘡(床ずれ)の始まりに繋がります。
病気により四肢や全身に浮腫が見られることが多いです。
また、長時間の車椅子乗車による足の浮腫もあります。
るい痩以外にも浮腫も皮膚が薄くなっているためトラブルを起こしやすい状態となっています。
トイレでの失敗も多くなりオムツやパットを使用する頻度は高くなっていきます。
オムツによる蒸れや摩擦により皮膚トラブルは発生しやすい状況になります。
また、便失禁や下痢による皮膚の汚染が持続することで皮膚の状況も酸性に傾きトラブルが発生しやすくなります。
人の肌は弱酸性です。
皮膚が乾燥傾向になるとアルカリ性に偏ります。
下痢などの排泄物で汚染すると酸性に偏り、トラブルが発生します。
高齢者のスキントラブルは保湿で解決できる

とにかく保湿が重要です!!
保湿をすることで乾燥傾向の肌も潤いが出てバリア機能が働きます。
弾力も生まれるので摩擦や圧迫、外的影響を受けにくくなります。
また、保湿効果は肌を潤わせるだけでなく陰部や臀部では排泄物からの汚染も守ってくれます。
保湿剤には脂分を含んでいるため汚染物をはじく効果があります。
軽い傷口も保湿のみで解決できるんですよ!!
人は傷を負うと出血しますが、その後に浸出液が見られると思います。
それは自己治癒力と言われるもので、自分で傷を治そうとして浸出液を出します。
傷が乾燥していると傷の治りは遅く、少なからず潤いが必要になります。
注意:潤っていればいいというわけではなく、適度な湿潤環境が重要です。
スキンケアの方法

スキンケアは保湿するために保湿剤を皮膚に塗布します。
効果的な物ではワセリンや保湿ローションです。
市販でも購入できますのでご家族様に準備していただくと有難いですよね。
また、ワセリンは病院でも処方が可能なので主治医に依頼すると簡単です。
塗布するタイミングとして、入浴後や清拭後に行うと保湿効果は持続されます。
1日に1度ではなく、1日に数回塗布するとより効果的です。
これは、保湿剤も皮膚に吸収されてしまったり、寝具や衣類によって拭い取られてしまうため1日に数回塗布することで常に潤った状態が保てるということです。
皮膚を外敵から守る

皮膚をただ保湿していればいいというわけではありません。
皮膚トラブルが起きてしまう原因をアセスメントすることも重要です。
除圧
ベッド上で自力で体動が困難である場合は圧迫を取り除くことも重要です。
適宜体位変換を行い、圧迫されている箇所を除圧しましょう!!
マットレスの選択も行い、骨突出が多きい場合はエアーマットを導入するなどの配慮も必要です。
柵や車椅子の配慮
逆に体動が激しく、柵などに四肢をぶつけてしまう危険性がある場合は柵カバーをして皮膚トラブルを回避しましょう。
車椅子やストレッチャーへの移乗時にもトラブルは発生しやすいため、フットレストを保護したり皮膚を引きずらないように配慮するなどスタッフ間で協力してケアすることが大切です。
オムツの使用方法
オムツをしている場合はオムツの当て方も考える必要があります。
漏れを予防するために必要以上に厚くパットを当ててはいませんか?
これは蒸れを発生してさせてしまう原因になりますので、効率の良い正しいオムツの当て方をしましょう。
オムツのサイズ選びも重要です。
大きすぎても小さすぎても皮膚トラブルは発生します。
その患者さんに合ったオムツのサイズを選びましょう。
保清
皮膚はとにかく清潔に保つこと!!
排泄物や体液で汚染している場合は毎日ケアしていないと直ぐにトラブルへと発展してしまいます。
汚染しているとそこからの菌が繁殖し肌に良い影響を与えません。
テープ固定
テープ固定によるトラブルは多く見られます。
カテーテル類の固定の際には必ずテープ固定をしていると思いますが、皮膚が弱い状態のところにテープを張ることは危険行為となります。
テープ固定によって水疱形成や表皮剥離といったトラブルは絶えませんよね。
テープ選びも看護師の重要な役割であり、皮膚に優しい粘着性の弱い物を選ぶ必要があります。
しかし、現場で使用している物は異なりますので現場で使用している物で最低限トラブルが発生しにくい物を選んでください。
固定の方法も様々ありますので固定方法も工夫しましょう。
高齢者のスキントラブルのまとめ
高齢者の特徴を把握し、皮膚のトラブルが発生しやすい状況であることを理解しましょう。
皮膚は清潔に保ち、保湿ケアを行うこと!!
保湿ケアを行いつつ、トラブルとなりやすい状況を判断してその危険から回避するようケアすること!!
患者さんのスキントラブルも今の時代では医療者側のインシデントとして扱われています。
そして、スキントラブルは未然に防ぎたいものであり、予測して回避しなくてはいけません。
小さなトラブルから大きなトラブルへ発展してしまう可能性もあるため、スキントラブルはきちんと行いましょう。
コメント